従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
11月度の衛生委員会の資料になります。
11月度のテーマは「過重労働による健康障害を防ぐために」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
過重労働による健康障害を防ぐために
令和2年11月度
衛生委員会資料
産業医 山元 俊行
過重労働による健康障害の防止のためには、時間外・休日労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進等のほか、事業場における健康管理体制の整備、健康診断の実施等の労働者の健康管理に係る措置の徹底が重要です。また、プライベートの時間が減少することによって休暇の時間が減少し、様々な健康被害を与えると考えられています。
1.うつ病リスクの増大
過重労働は従業員を疲弊させ、意欲を下げていきます。繁忙期や期日などの短期的な長時間労働であれば、その後にしっかりと休みを取ることで回復が可能ですが、慢性的な長時間労働では睡眠や休養の機会がないままに疲労が蓄積し、うつ病の発症につながります。うつ病は単に労働時間だけでなく、業務内容やノルマ、プレッシャーなどによるストレスも大きな影響を与えている上、個人差も大きいため、発症を防ぐためには総合的な配慮が必要になります。
2.過労死リスクの増大
働き過ぎによって、心身の健康を損なった場合、従業員が死亡してしまうことも少なくありません。直接的な死因は自殺、健康障害など様々ですが、月80時間の時間外労働が「過労死ライン」と言われており、このラインを超える残業は過労死を招く危険な状態と言えます。
3.ワークライフバランスの悪化
長時間労働が慢性化すれば仕事中心の生活となり、仕事に行き、帰ってきて寝るだけの生活になってしまいがちです。そうなれば他のことをする時間もなくなり、友達と遊んだり趣味に没頭したり、恋人と時間を過ごすことが難しく、日常に充実感・幸福感を得ることが難しくなってしまいます。結婚して家族が居るような場合では、家族と過ごす時間も無く、家庭がうまくいかない原因になったり、家事や子育てに当てる時間がなく、精神的に追い込まれていくことになります。
4.創造性の低下
心理学の研究によれば、創造性は時間的・心理的に余裕がある状況において高く発揮されることが分かっています。
長時間労働によって時間的・心理的余裕が奪われてしまっている状況では、業務においてもそれ以外でも創造性を発揮することができなくなります。
5.生産性の低下
労働者は特定の業務時間において生産性を発揮しやすいことが分かっています。日本の労働時間は、生産性を発揮しやすい業務時間に比べて約22%高いとされています。生産性が上がれば労働時間を短縮するという考えを持っている企業は多いようですが、実際は労働時間が長いために労働生産性が上がっていないことも考えられます。
長く働くことが良しとされている会社では、仕事がなくても帰れない、帰りにくい、といった風潮があることも多く、生産性が軽視されている場合が少なくありません。
長時間労働を是正し、従業員の健康にも注意しよう
長時間労働は当然のことながら従業員(労働者)に悪影響を与え、深刻な問題を企業に引き起こす可能性もあるため、真剣に取り組むべき問題です。業務の自動化も徐々には進んでいるものの、非定型業務が自動化されるのはまだ先であると予測されており、組織運営には人材が欠かせないため、長時間労働の是正のためには、会社として個々の従業員を尊重する姿勢が求められています。