日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
10月度の衛生委員会の資料になります。
10月のテーマは「心理的安全性について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!
令和元年10月度
衛生委員会資料
産業医 山元俊行
『心理的安全性』があると生産性が上がる!!
『残業禁止時代』ともいえる昨今。業務量は減少していないのにもかかわらず、残業時間の削減を求められている人も多いことと思います。
業務時間内に業務を終わらせるため、増えていくマルチタスクを個々人で処理しながら、チーム単位で成果を出すのはなかなか難しいことです。
そうした背景を受けて興味深い調査を行っている会社がありました。今回はそうした調査についてのお話です。
Google社が実施した「プロジェクトアリストテレス」をご存知でしょうか。
『社員の生産性を最大限に引き出すにはどうしたらよいのか』、ひいては『成功するチームが共通して持つ要素とは何か』を明らかにするために結成されたのが、通称プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)です。
同社では個人が複数のチームに所属するのがスタンダードですが、メンバーの大半が重複するチーム同士であっても、なぜか生産性の高いチームとそうでないチームに分かれていることに気がつきました。
さらに、プライベートでも親しく付き合いのある人々のチームと、仕事と割り切った事務的な関係性を持つ人々のチームを比較しても、生産性における差はみられないことにも気がつきました。
そこで、生産性を左右すると思われるあらゆる可能性について検証を行った結果、導き出されたのが『心理的安全性』という要素でした。
心理的安全性とは、お互いへの共感や配慮が自然に行われている状態を指します。
たとえば、チームのなかでよく発言する人とまったくしない人の差が激しい場合などは結果的に
生産性が低く、発言量が均等であるチームほど成功する傾向があったといいます。
こんなことを言えば上司に怒られるのではないか、同僚に見下されるのではないかといった恐れを抱くことなく、何を言っても許容されるという安心感をもって仕事に臨むことが、成功につながると調査で明らかになったのです。
平成24年に厚生労働省が実施した「労働者健康状況調査」によると、職場での強い不安、悩み、ストレスの原因は、職場の人間関係の問題(41.3%)、仕事の質の問題(33.1%)、仕事の量の問題(30.3%)(※3つまでの複数回答)となっており、上司や同僚との関係性の部分が心理的に大きな影響力を持っていることが読み取れます。
職場に於いて人間関係がストレスの元となるのか、もしくは自分らしさや人間らしさを許容できる雰囲気の中でチームプレイをするのかで、企業の生産性に大きく影響してくる事が考えられます。
安心感をもって働ける職場環境が生産性に直結する以上、ただやみくもに残業を減らすための施策を打つのではなく、環境を見直す必要があるように思われます。今ある環境のなかでの『心理的安全性』の作り方、一度考えてみてはいかがでしょうか?