2023年11月度 衛生委員会からのお知らせ
従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

11月度の衛生委員会の資料になります。

11月度のテーマは「睡眠呼吸障害について」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2023年11月度

衛生委員会資料

産業医 山元 俊行

睡眠呼吸障害とは

睡眠呼吸障害は、酸化ストレス、炎症、交感神経の過剰刺激などを生じることで、高血圧、糖尿病、心血管疾患、突然の死亡などと関連しており、その診断と治療が注目されています。

 

難治性高血圧の患者の中には、80%が 睡眠呼吸障害を併発しているという報告もあります。さらに、60歳以上の高齢者の約30% 睡眠障害を経験しており、生活の質を向上させるためには、睡眠呼吸障害の可能性を考慮することが重要です。また、睡眠呼吸障害の交通事故発生率は、健常人の約7倍と非常に高いことが示されるなど、交通事故や労働災害などのリスクに対する注意が必要です。

 

睡眠障害と循環器疾患との関連は?

睡眠呼吸障害は、下記の循環器疾患の発症および悪化に関連することが知られています。

  • 高血圧
  • 冠動脈疾患
  • 不整脈
  • 心不全
  • 脳卒中

 

睡眠呼吸障害の治療にはどんなものがある?

  • 減量

体重を減少させることにより、上気道の閉塞を減少させ、無呼吸の発生を軽減し、循環器疾患のリスク因子も改善させる可能性があります。

  • 体位療法

睡眠呼吸障害患者の半数以上では、睡眠中に特定の体位(主に仰臥位)になると、咽頭気道が狭くなり、無呼吸が発生しやすくなります。睡眠時の体位を変えることで、この狭窄が軽減されることが知られています。

  • 口腔内装置(Oral Appliance, OA)

通常、上気道の閉塞や狭窄を改善するために使用される装置です。これは、患者ごとに個別に作成され、その人の歯列模型に合わせて製作されます。

  • 外科治療

腫瘍や副鼻腔炎など治療が必要な上気道疾患が合併する場合に検討される上気道手術や顎骨を離断し適切な位置に移動後固定する顎矯正手術などがあります。

  • CPAP治療

CPAPは、「Continuous Positive Airway Pressure」 の略で、持続的気道内陽圧とも呼ばれます。

CPAP治療では、CPAP装置を使用します。この装置は、鼻や口の上に被るマスクを通じて一定の空気圧を供給します。この空気圧は、気道の閉塞を防ぐために気道の閉塞を防ぎ、睡眠中の無断継続的な呼吸を確保します。CPAP 機器は、睡眠時の状態に基づいて適切な圧カレベルを提供するように調整することができます。

 

CPAP治療にはどんな効果があるのか?

  • 睡眠障害の改善

睡眠呼吸障害は、昼間の疲れや集中力の低下を引き起こす可能性があります。CPAP治療は、これらの呼吸停止を減少させることで、睡眠の質を改善し、昼間の活動性を向上させることができます。また、睡眠呼吸障害は、自動車運転事故のリスクがあることが報告されており、CPAP治療の導入により交通事故のリスクは1/4に下がるという報告もあります。

  • 認知機能の改善

睡眠の質の低下は、軽度認知障や認知症を引き起こす可能性があります。

  • 気分障害の改善

睡眠呼吸障害は、抑うつや不安のリスクを増加させる可能性があります。

  • 神経変性疾患への効果

睡眠の質の低下や低酸素症は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の進行を促進する可能性があります。

  • 頭痛の改善
  • 頻尿の減少