衛生委員会資料従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
11月度の衛生委員会の資料になります。
11月度のテーマは「過労死について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
令和元年11月度
衛生委員会資料
産業医 山元 俊行
11月は「過労死等防止啓発月間」です
厚生労働省では毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死をなくすための取り組みを行っています。働きすぎで亡くなったんだと想像しやすい言葉ではありますが、一方では実際に何が原因で心身にどんな不調が起きてしまったのかまでご存知の方は少ないのではないでしょうか。
過労死とは?
過労死は、過労死等防止対策推進法第2条により、以下のとおり定義づけられています。
① 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
② 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
働きすぎは自律神経の乱れを引き起こす
過労死は、働きすぎ、残業のし過ぎ、肉体疲労が原因と思われがちですが意外とそうでもありません。
誰もが仕事でストレスを感じることは多々あるかと思います。実はそのストレスが過労死と大きなかかわりを持っているのです。ではどうして長時間労働によって、脳血管疾患・心臓疾患、精神障害を引き起こしやすくなってしまうのでしょうか。
- 交感神経優位状態が長くなる
人の自律神経は一日のうちに、交感神経と副交感神経がバランスを取りながら生活をしています。
・交感神経⇒興奮・緊張・不安・怒りの状態
・副交感神経⇒リラックス状態
労働時間は交感神経優位になることが多く、恒常的な長時間残業が発生していると、一日の大半が
交感神経優位状態になってしまいます。また、ストレスを受けると人は交感神経優位になります。
交感神経優位状態になると以下のようなことが体の内部で起きています。
・ 胃腸の活動が減る ・ 心拍数が上がる ・ 血管が収縮する
・ 血圧が上がる ・ 脳が興奮する
持病を持っている方は長時間労働やストレスで病気が増悪することも考えられます。
- 睡眠時間の減少
労働時間が長くなると必然的に生活リズムが後ろ倒しになり、睡眠時間は短くなるケースは少なくありません。その結果、疲労回復の機会自体が奪われてしまうことで、心身に大きな負担をかけてしまいます。
①②以外にも自分の時間を持てなくなり、ストレス解消の機会を失ってしまうことで、運動不足や不規則な食生活、飲酒、喫煙などの問題にもつながっていきます。もちろん生産性や職場環境にもダメージを与えます。①②は仕事の能率や正確性などパフォーマンスが低下する要因となり、また、ストレスにより感情の抑制が難しくなると、コミュニケーションにおいても気持ちが不安定になります。
きちんと休息や余暇の時間を確保する上で、勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設けることについて就業規則などで定めているもの)は活用していけると思いますが、「なぜ必要なのか」について経営者や管理職がしっかりと理解していないと浸透していきません。
過労状態やメンタルヘルスの不調がもたらすのは「個人への悪影響」に限定されるものではなく、「集団への悪影響」もあるのだと学んでいく姿勢が重要です。また、過労死防止に向けて政府や企業の取り組みはとても重要ですが、働く一人ひとりが自分の心身の状態に気づいていく必要もあります。