日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
4月度の衛生委員会の資料になります。
4月度のテーマは「マダニが媒介する感染症について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2025年4月度
衛生委員会資料
産業医 山元 俊行
マダニが媒介する感染症
― 野外活動では肌の露出を避け虫よけを ―
マダニは野外に生息する吸血性のダニ
マダニは野外に生息し、国内では約50種類が知られています。成虫の体長は2~8mm、幼虫、若虫では1~2mm程度で、野生動物や人間に寄生して血を吸います(図1)。マダニが体内に病原体を持っている場合、吸血されると下記のような感染症を発症することがあります。
マダニが媒介する感染症
日本紅斑熱は、マダニに刺されて2~8日で高熱、全身の発疹に加えて、「刺し口」と呼ばれる小さなかさぶたが見られます(図2)。テトラサイクリンという抗菌薬で治療できますが、治療が遅れると重症化してしまいます。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、ウイルス感染症で、マダニに刺されて6~14日で
高熱、腹痛、下痢などを生じさせ、血液中の白血球や血小板の減少が見られます。皮膚症状は 通常見られないことから、マダニに刺されたことに気づかないケースもあります。
多くは対症療法で改善しますが、高齢者では重症化して死に至ることもあります。SFTSは、
ネコにも感染し、ネコから人間に感染する場合がありますので、弱ったネコにはむやみに近づかないほうが良いでしょう。
いずれも西日本に多い感染症ですが、近年は温暖化の影響で、感染地が北上する傾向にあります。
マダニに刺されたら
実際には、病原体を持つマダニは少なく、過剰な心配は不要ですが、野外活動の際には肌の露出を避け、市販の虫よけスプレーを活用してマダニに刺されないよう心がけましょう。
もしもマダニに刺された際、自分で取ろうとするとマダニの口の部分が皮膚の中に残ってしまうことがあるので、皮膚科を受診して除去してもらってください。また、マダニに刺されたあとに熱が出た場合は、必ず医療機関に相談してください。
日本医師会 健康ぷらざより改編